私の好きな寝癖ちゃん
明日から休みかぁ。後ろの席から小さな声が聞こえてくる。終業式も終えて、担任からのお小言が終われば、学校からしばらく解放される。と言っても、これから受験をするほとんどのクラスメイトはもうしばらくは顔を見ることになるだろう。 後ろに座る紗奈ちゃんは、数少ない例外。推薦であっさりと受験を終えてしまって、冬休みはバイトをするのだと言っていた。がっつり稼ぐんだ~と楽しそうに話していたのに、今聞こえてきた声音はなんだか残念そう。
ホームルームが終わって、振り返って紗奈ちゃんを見てみるとばっちり目が合う。ちょっとびっくりした。 「バイト、楽しみじゃないの?」 「ともえに会えないのがさみしいの」 「わたしに」 「この寝癖ともしばらくおさらばか~」 髪が跳ねているらしい頭頂部をふわふわと撫でられる。ハンドクリームの金木犀がふわりと香る。 「……跳ねてたら教えてよぉ」 「だってかわいいんだもん」 得意気な紗奈ちゃんが、満足したように私から手を離してそのまま鞄を取る。 「ね、図書館今日も行くでしょ」 「うん」 「帰りコンビニでおでん食べよ」 「うん」 私の前を歩く紗奈ちゃん。ずっとこんな日が続けばいいのに、と思ってるのはきっとどちらもだ。
2025-12-27 21:36:27 Privatter+